5 「五氏の思想」を通じて解った「私がなぜ科学に取り組んだのか」 井深氏が説いた「戦後教育の問題点」に対する私の認識は、自らの高校時代の体験(中巻巻頭参照)に基づくものですが、「近代科学の問題点」については、その種が、師野口晴哉の講義を通じて私の潜在意識に入っていました。 師の三男である裕介氏は、父である師より聞いた話として、次のように述べています(『月刊全生』 1999年10月号)。 …晩年よくこういう話をしてくれたことがあります。「自分が若い頃からやってきた中で一番の敵は何だったかと言うと、常識だ。常識ほど強いものはなく、その時代の常識と闘うということが一番大変なことだった」と。 …熱のこ…