*この物語はフィクションです。実在のあらゆるものとは一切関係ありません。 1、いざ出陣! 三月十七日の昼、船橋大志(ふなばし おおし)は品川駅の新幹線搭乗口で人と待ち合わせていた。日曜だというのに比較的すいているよなあ、と船橋は辺りを見回した。すると、後ろから聞き慣れた声。 「やあ、船橋さん、こんにちは。お待たせしました! だいぶ待ちました?」 「あっ、こんにちは、Qさん! 僕もちょうど今来たとこなんですよ」 船橋とQとは二〇一八年以来の付き合いだ。発毛クリニックの「発毛日本一コンテスト」で船橋が入賞したとき、そのインタビューをしたのがQだった。Qはフリーのインタビュアーと言ったら良いだろうか…