「明日は書道道具忘れないようにしなくちゃ。」 「お母さん、手に書いておいて。二つ書いてね。」 私は次男の手の甲に「しょどう」とひらがなで書いた。 二つ書く必要があるのか分からないが、以前、トイレに入って手を洗ったら落ちてしまった事があったからだろうか、一応二つ書いておいた。 「ランドセルの近くに用意しておけば、明日困らないんじゃないの?」 「うん。そうだね!」 それは昨夜のやりとり。 そして今朝、出発の少し前に彼は手を見たのか書道道具を思い出した。 用意し忘れていたらしく、ランドセルの近くにはない。 バスの時間が迫っている。 いつもギリギリの時間に起き、ギリギリの時間に出ていく次男。 「とりあ…