古事記にあって、もっともよく知られひろく親しまれているのは、因幡の白兎 (稲葉之素菟) のくだりに違いない。 淤岐島(1)から今まさに気多の前に渡り終えようとしたときに、兎は鰐を怒らせてしまい毛皮を剝がれてしまう。そこに八上比賣 (八神姫) に求婚するために通りかかった八十神たち。兎は八十神に教わったままに、海水を浴びて風に当たっていたが、やがて海水が乾くにつれて皮膚がひび割れ、痛みのあまり泣きだしてしまう。 そこに八十神たちに袋を背負わされ、あとを追ってきた大穴牟遅 (おおあなむぢ・大国主命) は 、真水でからだを洗い、蒲の穂を敷いてそのうえで転がるようにと教えて兎がその通りにすると、たちま…