白話(口語)で書かれた中国の小説であり、文話(文語)で書かれた雅文体小説に対する語。
最も早期のものとして唐代の変文があり、宋代(12世紀)の講釈師の講史などの口演台本である話本に発し、徐々に読む小説となっていった。明代中期(16世紀)に入って、庶民向けの平易な小説として定着し、羅貫中、施耐庵、呉承恩らの小説家が、古くからの講史(語り物)を『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』等のすぐれた長編白話小説にまとめあげるに至った。これらの長編に対して、17世紀に入り、馮夢竜は『喩世明言』『警世通言』『醒世恒言』を著し、凌濛初は『初刻拍案驚奇』『二刻拍案驚奇』を編んだ。
中華民国時期に陳独秀、胡適、魯迅らを筆頭にした白話運動が興り文語文が使用されなくなると、小説の区分としての白話小説は消滅した。