三年ぶりに歌舞伎座に秀山祭が帰って来た。しかしそれが秀山祭の創始者、播磨屋の一周忌追善興行とは・・・無念としか云い様がない。天国の播磨屋に届けとばかり、親類・一門が勢揃いして力一杯の追善興行。役者も見物衆も、瞼の裏に在りし日の播磨屋を思い浮かべているのではないだろうか。その一部を観劇。入りは七分と云ったところだったろう。濃厚な親類筋である幸四郎と松緑の「寺子屋」が非常な熱演。云う迄もなく播磨屋十八番の狂言でその記憶がまだ生々しいが、令和の「寺子屋」として実に見事な出来であった。 幕開きは『白鷺城異聞』。亡き播磨屋が「姫路城創作歌舞伎」として姫路城三の丸広場で初演した新作歌舞伎。歌舞伎座では初め…