松本白鸚。
歌舞伎俳優、八代目松本幸四郎の最晩年の名前。
長男は九代目松本幸四郎(幸四郎)、次男は中村吉右衛門(吉右衛門)。
七代目幸四郎の次男。本名は藤間順次郎。
松本純蔵、市川染五郎を経て、昭和二十四年、「ひらかな盛衰記」松右衛門にて八代目襲名。
堂々たる風貌と重厚な台詞回しで、父親の幸四郎と岳父の初代・吉右衛門両系統の時代物の主役を一手に引き受ける。
昭和三十六年、一座ごと東宝に移籍し、話題を呼ぶが、役柄的にはかえって自由が利かなくなり、円熟期に不遇の期間を過ごす。唯一の救いが、テレビ版「鬼平犯科帳」の、初代長谷川平蔵役。
昭和四十八年、松竹復帰。
昭和五十六年十月、息子・昭暁に九代目を譲り、自らは白鸚を名乗るが、すでにベーチェット病に冒されていて、翌月の「井伊大老」が最後の舞台。