昨日、武田麟太郎と島木健作の作風について話をしましたが、 これに関連して志賀直哉が興味深いことを書いています。 百花文庫「友への手紙」 この本は、志賀直哉の書簡集で、昭和22年に発行されたものです。 通常、作家の書簡集は亡くなったあとに出るのが普通ですが、 これは志賀直哉がある目的で発行したものです。 あとがきに、氏はこう書いています。 生きている間に書簡集を刊行するのは異例の事だが、今から十数年前、「新しき村」で金の要る事があり、武者小路編という事で、私の書簡集を村の会員である山本書店から刊行し、その印税を村に寄付した事がある、それがこの本の中の武者小路宛の手紙で、小林多喜二宛のものは小林が…