不生禅の盤珪の重要性を見出し道元観照禅と臨済看話禅との違いを説いた鈴木大拙の手になる盤珪禅への導入書。先行して出版されている岩波文庫の鈴木大拙編校『盤珪禅師語録』(1941, 1993)をベースに、よりコンパクトにまとまった原典紹介がなされている。1990年の新装版では旧漢字が新漢字に改められより読みやすくなっている。岩波文庫版との最大の違いは鈴木大拙の論考「不生禅の特徴につきて」が収録されていることで、この論考によって鈴木大拙が考える道元禅と臨済禅と盤珪の不生禅の違い、ならびに仏教とキリスト教徒の非合理の処理法の違いが明確に示されている。一見平明な盤珪の不生禅の思想的な重要性について語る大拙…