雪が落ち着く季節。すぐに山麓には蕗の香りが高く足元にはワラビ。もう少し立てば田代に水芭蕉が見られるだろう。 こんな季節になると胸が躍る。春を迎えると空気も日に日に緩み水ぬるむことも感じるだろう。そんな和らぎそのものが魅力的ではあるが、胸が躍る理由はもう一つある。山歩きにスキーが使えるからだ。「山スキー」とはずいぶんと乱暴なネーミングでぱっとイメージがわかないかもしれない。スキーを用いた登山 と書くとわかりやすい。 ブナやダケカンバが顔を出す尾根をスキーで登り、広大なプラトーをスキーで歩き、頂上に立つ。必ずしも夏場の登山道を通るわけでもない。多様なルートで山頂に立ち、スキー板の裏に貼っていた滑り…