空を嗅ぐ犬を放てり猟解禁 酒蔵の塀のまぶしき小春かな 波音や島の屋台の温め酒 藤の実や子育話つきぬらし 柿囓る音に驚くベンチかな 風を嗅ぐ白き子犬や庭の秋 冬来ぬとぬるでかへるでささめくも 黙深き樫あらかしの小春かな 断崖のウミウ動かず冬日差し 確かなるわが足音や山眠る 足に触るるぬるで紅葉のリフトかな 札幌のささら電車や今朝の雪 麻痺の子の挨拶受けし櫨紅葉 山姥の売る山の幸通草買ふ 鬼柚子の横に子の顔戯けたる スピッツの銀の毛を梳く冬初め 時雨るるやよるべなき鳥電線に 城ヶ島の竹藪深し冬の蝶 断崖のウミウにのぼる初日かな 一身に陽を吸ひ細る干大根 枯芦の葉ずれ高鳴る湖北かな 笹鳴の庭にきてゐ…