岩波文庫161、162ページ「祖宗いはく、釈迦牟尼仏、自従迦葉仏所伝正法、往兜率天(とそつてん)、化兜率陀天、于今有在(釈迦牟尼仏、迦葉仏(かしょうぶつ)の所(みもと)にして正法を伝へてより、兜率天に往いて、兜率陀天を化して今に有在(ましま)す)。 まことにしるべし、人間(じんかん)の釈迦は、このとき滅度現の化(け)をしけりといへども、上天の釈迦は于今有在(うこんゆうざい)にして化天(けてん)するものなり。学人(がくにん)しるべし、人間の釈迦の千変万化の道著(どうじゃ)あり、行取(あんしゅ)あり、説著(せつじゃ)あるは、人間一隅の放光現瑞なり。おろかに上天の釈迦、その化さらに千品万門(せんぼん…