「一月万冊」で佐藤章さんが推奨していた目取真(めどるま)さんの作品。2004年から2007年にかけて季刊『前夜』に12回にわたって連載された文章に加筆・訂正したもので、2009年の刊。現在は品薄状態にあるようで、入手できたのは幸運だった。 戦争末期の沖縄で米兵たちに強姦された少女と、その米兵たちに銛をもって一人で向かっていった少年をめぐる多声的多重的な内容。話はもちろんフィクションだろうが、ノンフィクションの側面があることを容易に想像させる。小生のような軽薄な人間には、ただただ言葉を失う描写の連続。 半分近く読んだ時点では、2017年の東京写真記者協会賞を受賞した「沖縄の視線」という写真(東京…