「真尋の手に触れても大丈夫ですか?」 「はい。大丈夫です。ぜひ、手を握ってあげてください」 看護師は事務的な口調で答える。 美和はベッドの上に投げ出された真尋の右手に触れる。そしてそのままその手を強く握った。真尋の右手は氷のように冷たかった。 「なんで・・・、なんでこんなことに・・・」 美和の言葉は、誰にも受け止められることもなく空気の中に霧散していく。 美和は看護師を振り返った。 「真尋はどのような具合なのでしょうか」 「そのことについてなのですが、先生が真尋さんのお母様にお話ししたいことがあるとのことです。診察室まで来てもらってもいいですか?」 「・・・わかりました」 美和は真尋の右手から…