Ishiko Jun 石子順の本名は石河糺でかつてのペンネームは石下学。
漫画評論家、映画評論家。
1935年、京都市生まれ、1961年、東洋大学文学部卒。
中国映画の日本語字幕翻訳を経て、映画評論活動と漫画研究に従事。
現在、和光大学表現学部教授(視覚文化論)。
主なものに
『手塚治虫マンガ館』
『日本漫画史』
『戦後漫画の主人公たち』
『現代漫画の主人公たち』
『昭和の戦争カリカチュア』
『手塚治虫漫画の奥義』
『戦後映画の主人公たち』
『中国映画の散歩』
『中国明星物語』
など。
amazon:石子順
石子順の本名は石河糺。
1960年代始めには「石下学」というPNで日本共産党系の媒体に執筆していたが、
石子順造がジャーナリズムの一部で注目されはじめた60年代後半に、「石子順」と改名した。
関連::呉智英
id:goito-mineral:20050512:p1から転載
(前略)じじつ、石子順は本書でアメリカの「コミック・コード」を礼賛し、昭和35年に「先生たちや評論家たちが参加している「よい本をすすめる会」(阪本一郎・村岡花子・山本藤枝・菅忠道・三石巌・滑川道夫)と「読書指導研究会」がまとめた結果」を引用している。これを「漫画評価の「ものさし」の見本」として提示しているのである。少々長くなるうえに「孫引き」だが、ウェブ上に資料を残す意味もあるので、この「ものさし」をテキスト化してみることにしよう。
漫画評価の基準a 表現
1 印刷・紙質・割付 2 絵・色彩 3 ことば・文字――正しい国語を使っていないもの。美しくないことば、下品なことば、表記上のあやまり等のあるもの。
b 社会観
4 慣習・制度の否定――良識に反して民主主義社会に生きる慣習や制度をむやみに否定したり破壊したりするもの。5 思想(歴史観)の不当――時代の歴史的解釈を誤っているもの。民主主義の思潮に反するもの。
6 戦争観の不当――戦争を肯定的に扱い好戦的な思想を植えつけるおそれのあるもの。国際理解をゆがめ、世界平和を軽んずる扱いをしたもの。過去の戦争を不当に美化したり、茶化したりするもの。誤った英雄主義を植えつけるもの。
c 人間観
7 人権の無視、差別観――人権を尊重しないもの。身体・貧富・性別・人種などによる不当な差別感(原文ママ)に立つもの。8 不当な人間関係――人間相互の間の好ましくない摩擦を強調したもの。不和・憎悪・反抗・敵意・復仇・まま母等を不当に描いたもの。
9 権威の愚弄――法律によって職務を遂行する者を不当に無能ぶりを強調して扱ったもの。親・教師・警察官等を茶化し愚弄したもの。
d 生命観
10 生命の軽視――人間や動物をむやみに殺傷することを描いたもの。11 残虐行為――人間や動物に苦痛を与える場面を誇張して描いたもの。子女の誘カイ・ゴウ問・セッカンなど、児童の虐待・酷使を無批判に扱ったもの。
12 殺人の描写――殺人の方法や手口を詳細に描き、模倣されやすいおそれのあるもの。死体や流血を過度に写実的に描いたもの。
e 不良性
13 犯罪・犯罪的行為の手口――犯罪や非行の方法を詳細に描き、子どもが模倣するおそれのあるもの。14 暴力・悪意の否定――暴力による闘争を描き、たとえ正義の側でも暴力によって勝つことを結末としたもの。悪謀をいだいた者が、最後には失敗するにしても、成功をおさめる過程を肯定的に扱ったもの。犯罪者を英雄視し、魅力的に描いたもの。
15 性の暴露―性的な問題を興味本位で扱ったもの。性的なふくみを暗示するもの。
f 刺激性
16 不当な催涙性――むやみに悲哀観を強調して子どもを悲しませようとするもの。加虐的な意味を言外ににおわせたもの。17 下品なくすぐり。
18 過度の怪奇、恐怖。g その他
19 科学性の無視、誤り――合理性を不当に乱しているもの。20 子どもの程度の無視――表現形式もしくは内容が読者対象たる子どもの発達程度を無視しているもの。
<とりあえず、ここまででアップします>