訓読 >>> 107あしひきの山のしづくに妹(いも)待つとわれ立ち濡(ぬ)れぬ山のしづくに 108吾(あ)を待つと君が濡(ぬ)れけむあしひきの山のしづくにならましものを 要旨 >>> 〈107〉あなたを待って立ち続け、山の木々から落ちてくるしずくに濡れてしまいましたよ。 〈108〉私を待って、あなたがお濡れになったというその山のしづくに、私がなれたらいいのに。 鑑賞 >>> 107は大津皇子(おおつのみこ)の歌。108は石川郎女(いしかわのいらつめ)が答えた歌。石川郎女(伝未詳)は草壁皇子の妻の一人であったらしく、大津皇子が山で郎女を待つというのは尋常ではなく、世を憚る関係であることを示してい…