訓読 >>> 109大船(おほぶね)の津守(つもり)が占(うら)に告(の)らむとはまさしに知りて我がふたり寝(ね)し 110大名児(おほなこ)を彼方(をちかた)野辺(のへ)に刈る草の束(つか)の間(あひだ)も我れ忘れめや 要旨 >>> 〈109〉津守の占いに出て分かるだろうとは前から承知の上で、私たち二人は寝たのだ。 〈110〉大名児よ、お前を、遠くの野辺で刈っている萱の一握り、それほどの短い間も忘れることがあろうか、ありはしない。 鑑賞 >>> 大津皇子は天武天皇の御子で、大柄、容貌も男らしく人望も厚かった人物です。異母兄である草壁皇子(くさかべのみこ)に対抗する皇位継承者とみなされていまし…