紙残しの話が続きましたので、流れで紙を残さない話もしたいと思います。ヨーロッパの作家が出している透明水彩のレクチャー本には「ドライ・オン・ウエット」というものが掲載されています。ドライ=乾きですので、水分が殆どない絵の具で先に着彩しておき、その上からウェット=潤い、つまり水分を多く含んだ絵の具を重ねるように着彩するのが「ドライ・オン・ウェット」です。これにより先に着彩した乾いた絵の具が少し溶け出して独自の雰囲気が出せます。但し、これは木の幹のシボ(シワみたいな)や岩や石壁の質感などの凹凸表現に有効で、限られた箇所で使う場合が殆どです。 この技法自体を何度か使いましたが、元からリアリティーに拘り…