「もののあわれ」という死生観が日本ではひとつの美学として古来から存在します。人物を描く場合に、特に観念は大きく絵に出ると思います。 自分の人物スケッチを見ていて思うのは「一瞬の中に永遠があり、永遠に時間はない。」というものを感じます。 これは、言い換えれば「特別な瞬間よりも、むしろ何でもない瞬間に人間の本質が潜んでいる。」となり、昨日の肯定する風景の話と同じく、何でもない瞬間を一番肯定しようとして描いていると思います。 輝ける一瞬や、記念すべき時は頑なに遠ざけた視線を人物に送る。それこそが特別であり、奇跡の様な瞬間だという認識です。 だから、自分が描いた人物は「もののあわれ」という死生観に似て…