学歴信奉者というのは今でもわんさといるんだね、というのが、読後直ぐに思ったこと。著者は「World Open Heart」というNPO法人を主宰している。この法人は我が国で初めての、犯罪加害者家族を支援するための法人だ。著者が本作を上梓した大きな理由は、社会に溶け込めない高学歴難民が、生きるために犯罪に手を染めてしまう事例があるからだ。本書ではそのような事例を幾つも紹介している。ここからわかるように、本書は学者による論考ではなく、社会活動家による実践的なルポだ。それだけに取っつき易く、全体で200ページも無いのですぐ読める。しかし読後には、重いやりきれなさが残る。それはつまりこのようなものだ。…