日本全国に獅子舞を伝え、その伝播の中心を担った伊勢大神楽。この芸能が各地の獅子舞の起源として語られることは非常に多く、その影響は計り知れない。2022年12月24日、三重県桑名市の増田神社で行われた伊勢太神楽の総舞を拝見してきた。それとともに、桑名市立図書館で郷土資料の調査も実施した。そこでわかったことをここにまとめておく。 伊勢大神楽の縁起 伊勢太神楽の最初期の物語は、山本源太夫家に残されている『伊勢太神楽由来ノ抜キ書(1661年3月)』に遺されている。そこに記されている内容として、まず神楽の起源が述べられ、それは天岩戸神話の中の天宇受売命(あめのうずめのみこと)の「俳優(わざおぎ)」のこと…