ILOに関わって、もう一点あげておきたいことがあります。それは、「ディーセント・ワーク」(尊厳のある労働、あるいは人間らしい労働)です。提唱された1999年当時と併せみれば、そこに深い意味を読み取ることができます。地球規模での経済成長一辺倒の様相にあって人々の働き方から尊厳が損なわれ、人間らしさが失われていったのです。ディーセント・ワークは、こうした様相への対抗概念であり、警鐘でした。 (p.111-2) 精神障害分野の社会的入院問題に、この地域移行を妨げている要因を見ることができます。主な要因として、①退院後の生活支援の担い手となる家族の高齢化、②本人の経済基盤の脆弱さ、③働く場や住居などの…