どの国、どの時代にも起爆的役割をになう思想がある。美術や伝統、革命や戦争、果ては迫害など表出手段は様々だが、本書『ツァラトゥストラはこう言った』は幸福にも散文詩のような物語形式において発表された。 そのまま通読しても、正直よく判らない。攻略本がないとクリアー出来ないRPGと同じである。ニーチェに関する本は無数に出版されているので、併行して読み進めると理解が深まり、いたく感動する。 あらすじとしては、30歳にして10年間山にこもったツァラトゥストラ(聖者、預言者にニュアンス近い)が、山を降り民衆に教えを広める物語。 まず彼は、当時の世界観では地球的規模の問題提起をする。「神は死んだ」である。ルサ…