手を取られて、丁寧な言葉で死を告げられる。海辺の街でひとり暮らす女子高生・八百歳比名子が受け取った最初の挨拶は、そういうものだった。「私は君を喰べに来ました。」——そう語りかけてきたのは、海のように青く美しい瞳をした少女である。 言葉と動作が噛み合っていない。喰べに来たのなら、手を取る必要はない。優しく話す必要もない。ところが近江汐莉と名乗ったその少女は、襲いかかる代わりに条件の説明を始める。比名子の血肉は、あらゆる妖怪を惹きつけるほど特別なものらしい。自分はそれを、比名子が成熟して最高の状態を迎えるまで守る。そのうえで、すべてを喰らい尽くす。 捕食者が護衛を兼ねる、という申し出だ。しかも実行…