遊牧社会・モンゴル国の食文化島崎美代子 日本福祉大学福祉社会開発研究所客員研究所貞モンゴル国の首都・ウランバートル市は居住人口96万5千人に達し、全人口の37% を超えている(2005年)。そこでは、都会風の生活・食習慣が一般化しつつあると云えるであろう。しかし、社会の基底には現在でも遊牧業があり、都市居住者もまた、「故郷」との繋がりをもっている人々が多い。そこで、モンゴル国の食文化の典型として 遊牧民の伝統的生活・食文化を取り上げたい。1はじめに‡ モンゴル国の地勢は、大きく分けると4つの地帯-森林、森林草原、乾燥草原、砂漠-が、東西にのびている。中央部、西部に山脈・山塊がいくつか、東西に走…