山の神を祭る日取りは、必ずしも定まっていない。正月には初山、二月は春の山祭り、十二月は秋の山神祭が取り行われてきたが、いつのまにか大方の祭事が省かれ、今では事業に着手するときに入山式、終了したときに下山式が行われるに過ぎない。 入山式には鹿島鳥居を奉納し、山の安全と仕事の完遂を祈願する習わしが古くから行われてきた。山麓の部落周辺にある老大木、いわゆる御神木に鳥居が数基、あるいは数十基連立されているのを時折見かけるが、鳥居の数により、この地域で行われてきた山仕事の継続年数を知ることが出来る。 また、一部の地方では、奉納する鳥居の貫に、鋸、斧、とび口など山仕事で使用する道具の絵を墨書きする。 山の…