秋霧に 立ちおくれぬと 聞きしより 時雨《しぐ》るる空も いかがとぞ思ふ 葵の上を亡くした源氏からの手紙に対し 式部卿の宮の姫君(朝顔の姫君)は お悔やみの文を送る🍃 〜霧の立つ頃、 貴方は、奥方様に先立たれなさったとお聞き致しました。 それ以来 時雨の季節につけ いかほどお悲しみのことかと お察し申し上げます。 【第9帖 葵 あおい】 源氏はまだつれづれさを紛らすことができなくて、 朝顔の女王へ、情味のある性質の人は 今日の自分を 哀れに思ってくれるであろうという頼みがあって手紙を書いた。 もう暗かったが使いを出したのである。 親しい交際はないが、 こんなふうに時たま手紙の来ることは もう古…