9 科学の網の目からこぼれ落ちるもの― 科学の利点と限界・問題点を理解する 敗戦後の日本社会に生まれ、「科学万能」と信じられた時代(1955年~1973年の高度経済成長期)、及びそれ以後に育った人々にとって、心身二元論・機械論的世界観に基づく「科学的な見方」は、良くも悪くも彼らの思考様式や生活感覚にまで入り込み、科学的であることは、当たり前のこととなってしまっているのです。 (=自分の考え方が「科学的なものの見方」だと思っていない) そこで科学というものについて改めて考え、その利点と限界・問題点について把握しておく必要があるのです。 黒崎宏氏(哲学者)は、科学哲学(科学を対象とする哲学的な考察…