諸般の事情でまた低調気味。 まあ仕方ありませんな ◆『HHhH』ローラン・ビネ 実際にあった、ナチス高官ハイドリヒ襲撃事件を題材にした小説。とはいえ通常の歴史小説とはやや趣が異なり、語り手が事件の取材を進めていく過程と実在の人物の歩みが重なるユニークな手法がとられている。つまり作者が、情報を欠く部分を安易に想像で埋めてよいのだろうか、といった創作論的な問いかけもあるメタフィクショナルな語りである。その分、時に滑らかに流れない事もあるが関連した人々の息づかいを伝えようという思いも感じられる、優れた作品だ。様々な表現の流れが集約するクライマックスは圧巻。また本文で、少し前に発表され同じくナチスをテ…