草たちがいっせいに芽吹いてきた。日に日に背丈を伸ばして存在を主張してくる。 この段階で草むしりに入るのは、いかにも大袈裟だろうと、かつては考えていた。もう少し伸長してからでないと、むしり甲斐がないなんぞと、暢気に構えていた。とんだ心得違いだった。先手必勝。この時期に幼芽を一度退治しておくことで、繁茂期の強敵たちがかなり組しやすくなる。ここ数年での教訓だ。 躰馴らしに適当な場所はと物色して、空鉢置き前のひと坪から手を着けることにした。気力体力、判断力忍耐力いずれも、昨年の今日よりは確実に減退しているはずだ。短時間の軽労働とはいえ、今の自分がいかほどの作業に耐えうるものなのか、また健康上の負荷とし…