享和3(1803)年、常陸国の「はらやどり浜」の沖合に不可思議な小舟が現れました。 「(船は)お香の入れ物のような円形。 直径は三間(5,4m)、上部はガラス張り。 継ぎ目は松脂で塗り固められ、底も丸く、鉄板を筋のように張り合わせてあり」 この舟のようなものの中には『蛮字』が書かれていたとか。 乗っていたのは、 『眉と髪の毛が赤く、顔色は桃色、白く長い付け髪』 の女性。 日本語ではない言葉を話し、二尺(約60cm)四方の箱を大事に抱えて、微笑んでいました。 「南総里見八犬伝」の作者滝沢馬琴が実話として書き残したこの逸話ですが、後に女性の正体はロシア人だとかイギリス人だとも言われたものの、やはり…