涙の理由 その日、わが家には友人たちが集まり、千恵は珍しく少しだけお酒を飲んだ。 機嫌よく、バルコニーで三線を弾きながら「童神」を歌った。 日も暮れて、台所で片付けをしていると、そこに千恵がいないことに気づいた。 はなと一緒に探した。 千恵は襖の向こう側の和室で横になっていた。 「どうしたの?」 理由を聞くと、千恵は涙声で答えた。 「みんなが片付けをしてくれているのに、体がきつくてできない。普通のこと、あたり前のことができない自分が情けなくなってしまって。ごめんね」 4歳のはなにも伝わったのだろう。 小さな手で千恵の頭をなでていた。 2008年6月28日 2005年8月19日 自分のためにも生…