訓読 >>> 950大君(おほきみ)の境(さか)ひたまふと山守(やまもり)据(す)ゑ守(も)るといふ山に入(い)らずはやまじ 951見わたせば近きものから岩隠(いはがく)りかがよふ玉を取らずはやまじ 952韓衣(からころも)着(き)奈良(なら)の里(さと)の夫松(つままつ)に玉をし付(つ)けむ好(よ)き人もがも 953さを鹿(しか)の鳴くなる山を越(こ)え行かむ日だにや君がはた逢はざらむ 要旨 >>> 〈950〉大君の御領として境を設けられ、山の番人を置いてまで管理されている山であっても、私は入らずにはいられない。 〈951〉海の上を見渡すと、近くにありながら、岩陰に光り輝いている玉がある。そ…