屋上や非常階段からの風景は、いつも見る街の風景とは違うし、夜の公園の風景も、いつも見る昼間の公園の風景とは違う。25年前に書いた「地上70センチの視線」論のように、地べた座りもそうだった。人が行き交う渋谷センター街の路上で地べた座りをすれば、いつも見慣れた街の風景が一変する。仲間で座れば皆で「社会の外」に出られる。 一定の作法を通じて、当たり前の社会が、突然「社会の弱い場所=世界に通じる場所」を現出させる。読者は好きな人と観覧車に乗ったことはないだろうか。「ここを昔の屋上だと思おうよ」と言って二人で抱き合えば、「社会の弱い場所=世界に通じる扉」を自分たちのものにできる。地べた座りの若者と同じく…