同じ作家の小説とエッセイで、魅力的な共通点があると感じた本の感想を書きます。 白痴 人情はただの好都合では動かない。礼儀やタテマエでも動かない。人情を行使するとはどういうことかを考えるのによい小説でした。わざとそれらしい言葉を使うなら、この主人公を突き動かしていたのはカルマ・ヨーガの精神。だってそこに人間がいるんだものと、目の前の人を助ける。目の前の人間には「心」がある。でも「頭」は狂っているということにされている。そういうことにされている。この物語の半径は小さく、困ったときはお互い様なんて言葉もないまま関係が回っています。 この物語は生死の危機にさらされる戦争の話であり人間愛の話。こんなにも…