先日紹介した短編集「絶望日記」の中では、連城三紀彦「紅き唇」が最もよかった。 頭木弘樹 編「絶望書店」 - そこはかとなく それで連城氏の短編集「恋文・私の叔父さん」を読んだ。5つの短編が収められている。〇 恋文 子供のような年下の夫。結婚前に付き合っていた女性がいた。女性の余命が半年だと分かり、夫は家を出て女性の世話をする。窓ガラスにマニキュアで桜の花びらを書いて。夫は女性と結婚式を挙げたい、離婚してくれと妻に言い出す。妻は女性と仲良くなり・・・しっかり者の妻の「屈辱感」が印象的。 〇 紅き唇前にも書いたが、老婦が死んだ娘の元夫と暮らす話。老婦は若い頃の思い出を大切に心にしまっている。紅い口…