実は、これまで絶大な支援をしてくださっていた出版社の編集長さんが、残念ながら、昨年の五月に亡くなられ、事業を閉じてしまわれました。 さて、どうしたらいいのか、緋野晴子は新作をどこから出版すればいいのか、この一年、出版難民となって、 あちら、こちら、漂流しておりました。 今回は400枚ほどの恋愛小説です。 心は文学、文章はだいぶん純文学的、でも、いわゆる純文学小説は敬遠されがちですので、多くの方に楽しんで読んでいただけるよう、舞台や展開をなるべく軽やかにして、エンターテイメント性を取り込みました。 文学界の大御所、加賀乙彦先生には、「純文学か、大衆文学か、どちらかしかないのですよ。その間というも…