数ならぬ み島がくれに 鳴く鶴《たづ》を 今日もいかにと訪《と》ふ人ぞなき 源氏の君からの手紙を読み、 頼りにし信頼する明石の上(源氏の君に by 明石の君) 〜物の数ではない 島の影に隠れてなく鶴‥ 人数に入らないわたしのもとで育つわが子を 今日の五十日の祝いはどうしているかと 尋ねてくれる人は他にいません 【第14帖 澪標 みおつくし】 乳母は源氏の手紙をいっしょに読んでいて、 人間にはこんなに意外な幸運を持っている人もあるのである、 みじめなのは自分だけであると悲しまれたが、 乳母はどうしているかということも奥に書かれてあって、 源氏が 自分に関心を持っていることを知ることができたので満…