『結論』 経歴詐称という“嘘”をめぐる二つの事件──スーパーバッグ事件と炭研精工事件。 どちらも嘘をついたという点では同じだが、裁判所の判断はまるで違う。 そこに、懲戒解雇が認められるかどうかの線引きが静かに浮かび上がってくる。 スーパーバッグ事件では、学歴や職歴といった採用の入口にあたる情報が意図的に偽られ、企業が最初の判断を誤らされていた。 採用の前提が崩れていれば、信頼関係は最初の一歩から破綻している。裁判所が懲戒解雇を有効としたのは当然といえる。 一方、炭研精工事件では、学歴詐称そのものよりも、企業秩序に直結する重大事実──懲役刑の隠匿──が問題とされた。採用時には、企業秩序や適正配置…