「この間もパーヴェルさんに、『臼へ入れて搗き殺すぞ』っておっしゃいましたわ」とマリヤが言い添えた。 「もし臼へ入れてなどと言ったとしても、それはほんの口さきばかりかもしれませんよ」とアリョーシャが言った。「もし僕がいま兄さんに逢うことができたら、そのこともちょっと言っておくんですがねえ……」 「私があなたにお知らせのできるのは、まあ、これくらいなものでございますよ。」何やら考えついたように、スメルジャコフは突然こう言いだした。「私がここへ出入りするのは隣同士の心安だてからです。それに、出入りして悪いってことはありませんからね。ところで、私は今日夜の明けないうちにイヴァンさまのお使いで湖水街《オ…
「そりゃ、アレクセイさん、そのとおりですよ、その一年半の間に、あなたとリーズは幾千度となく喧嘩したり、別れたりなさることでしょうよ。けれど、わたしは喩えようもないほど不仕合せでございます。それはみんなばかばかしいことには相違ありませんが、それにしても仰天してしまいました。今わたしはちょうど大詰の幕のファームソフ([#割り注]グリボエードフ『知恵の悲しみ』の人物、ソフィヤの父親[#割り注終わり])のようでございます。そして、あなたがチャーツキイ、あの子がソフィヤの役割でございます。それに、まあどうでしょう、わたしはあなたをお待ち受けしようと思って、わざとこの階段のとこへ駆け込んだのですが、あの芝…