2011年シーズンから導入されたNPBの公式使用ボールのこと。
これまでは、球団間で使用するボールが異なることで公平性が損なわれる点が疑問視されていた上に、国際試合の度に選手がボールに対する戸惑いを持っていた。加藤コミッショナー(※当時)がWBC連覇を達成した2009年直後から、ボール統一の必要性を説いてきた経緯があり、それを受けて2010年1月に12球団が意思統一。6月の実行委員会で2010年に供給していた4社からミズノ製を選定した。
最大の特徴は、飛距離が抑えられることにある。中心のコルク芯を覆うゴム材に新開発の低反発ゴムを用い、平均反発係数を規格値下限の0.4134に近づけて製造。その結果、投手の球速を144キロ、打者のスイングスピードを126キロ、最も距離が出るとされる飛び出し角度27度として計測した飛距離は、従来の約110.4メートルから約1メートル減の約109.4メートルになるとされる。
北京五輪などで使用され、“飛ばないボール”と言われていた「ミズノ150」よりも「統一球の方が飛ばない」とミズノ社自体も広報している。
また縫い目の高さはより低く、縫い目幅はより広くされ、国際試合時に違和感のないよう工夫。従来はメジャーリーグで使用されている馬革*1の使用も検討されたが、原料仕入れや転換技術の問題などから変更されなかった原料の牛革の使用対象範囲も従来の背中側だけから、IBAF(国際野球連盟)やMLBの使用球のように牛の脇、腹の一部にまで広げられた。微妙な感触の違いはあるものの大差はないと説明されたが、実際使用した投手からは、前に比べ滑りやすく肘に負担がかかりやすいとの意見も見られる。
導入後極端に投高打低になりホームランが激減したことや、導入の大義名分となったWBC使用球について、2013年に開かれた第三回大会で「WBC使用球」とこの「NPB使用の“統一球”」の性質が以前と変わらず全く似ていないことが実証された。また、使用1年目から既に本塁打激減を理由に批判が起こっていた事に加え、このWBCの結果によりこの統一ボール導入の大義名分が事実上失われたともいえる結果になったため、2011年オフから統一球についての再検証を要求していた選手会だけでなく、主要マスコミからも批判が上がるに至り*2、導入を強行した加藤良三コミッショナーに対して批判が高まっていた。
2013年、統一球を反発力の大きい「飛ぶボール」に変更しながら公表していなかった事が発覚。
平均反発係数を0.4134から0.415〜0.416に変更。同社によると、0.001変わることでボールの飛距離は約20cm変わるという。
2013年6月12日、加藤良三コミッショナーがNPB事務局で緊急会見。統一球の変更について聞いたのは11日とし、事実を隠蔽する意図はなかったと強調。変更は下田邦夫事務局長の独断とし「不祥事ではない」と発言している。
2014年、シーズンの公式戦で使用している統一球の反発係数の検査結果を公表。規定の上限より高い数値が出ており、製造元のミズノに原因究明が指示された。今回の平均値は、仕様変更を公表していなかった2013年4月の検査の平均値も上回っていた。
*1:現在ではメジャーリーグでも原材料の馬革の供給困難から牛革製のボールを使っている。
*2:http://blog.livedoor.jp/catcherliner/archives/7795002.html