もがりぶえ 作 富安陽子 絵 梶山俊夫 // 強い風のせいで雲まですっかり吹き飛ばされた青い空。 そこに凧を上げようと子どもが原っぱにやってきます。 すると、あれくるう草の海から、不思議な声が聞こえてきます。 「きょうの虎はでかい」。 だから「虎落笛」を吹けというのです。 そうなんです、虎落笛は虎狩のとき虎を追い出す笛なのですね。 吹かなければ凧を壊すと言われて、しかたなく子どもはそばのカゼクサの茎をとって、おもいきり息を吹き込みます。 さあ、虎は出てくるのでしょうか? 虎を追うのは誰なんでしょう? 子どもは目をつぶります。 冬のさなか、竹林をわたる虎落笛のお話。 富安さんの作品は、山や林や畑…