画集のようだと思っていた少女はしっかり人並みに意地が悪くて、かなしみだけではなく当然怒りも抱えており、やはり現実は芸術ではないのだと思い知らされた。そもそも画集をまともに読んだことはなかった、と、気がついたのは友人の家でマティスの画集を見せてもらった時だった。 美術館をたのしいと思えるようになったのはごく最近のことだ。たのしいと言ってもこれはなんか好きだなあ、これはわからないなあ、くらいのもので、小学生の校外学習みたいなものだけれど。絵画がわかるようになったというよりは、わからないことをわからないままにたのしむ術を身につけたという方が近いかもしれない。春が好きなのとほとんど似た理由で、印象派の…