愚者は食べ物の話をし、賢者は旅の話をする。で、あるならば、私は愚かな旅人であろうか。 こんな書き出しで始まる、開高健「オーパ、オーパ !! モンゴル・中国 スリランカ篇」の”国境の南”という章に、こういう話が出てくる 『一九八五年、七月のこと。広大な中国の広大な西北部、新疆ウイグル自治区のアルタイ山脈のなかにハナス湖※1という湖があり、ここで巨大な赤い魚が水面を泳いでいるのを新疆大学生物学科の向里該助教授※2とその学生達が発見した。〜中略〜魚体は九メートルから十二メートル、体重は推定一トン以上と推定した。これが「北京晩報」の一九八五年十一月七日から六回に渡って連載された記事のうちの実見の部分で…