はしご酒(3軒目) その十四 「ウツクシイ シズク」 Zさん、泡盛ベースのカクテルを注文したかと思うと、おもむろに、ユルリとコチラに顔を向け、「美しい雫(シズク)、という言葉が、ず~っと忘れられないままなのよね~」、と。 もちろん、なんのことやら、サッパリ。 「ある現代彫刻家の言葉なの」 現代彫刻家の言葉? 「自然の中でナニかをつくる、その時に、自然の中からナニかがポタリと落ちる、そんな瞬間があるらしいのよね」 自然の中から、ポタリ、か~。 美しい雫とは、そういう奇跡の言葉、らしい。 私は、瞳を輝かせながら「美しい雫」を静かに語るZさんに、この人は、いったい、どういう感性のもち主なのだろう、と…