私は老人ホームで働く介護士の「かいごの木」です。日々、様々な入居者の方と接する中で、多くのことを学んでいます。中でも、真剣な思いの美しさに何度も心を打たれています。 ある日、認知症の女性Aさんが、真剣な顔で私にこう尋ねました。 「私って、もうダメなのかな。」 Aさんは、最近物忘れがひどくなり、自分が何をしたのか分からなくなることが増えていました。そのことが不安で、自分を責めていたのです。 私は、Aさんの手を握り、「Aさんにとって大切なものは何ですか?」と尋ねました。 Aさんは、しばらく考え、「家族と過ごした時間」と答えました。 私は、「Aさんにとって大切なものは、今もずっと変わっていないんです…