日はまだ昇っていない。東の空が明るみ、かすみがかった雲がそこにはあった。 穏やかな日になりそうだ。着た切り雀のマントが今日は綺麗に整えられていた。 私が誰であるかは一目瞭然で、手になじんだ羊飼いの杖が雄弁に物語っていた。 昨日まで、ユダのテコアの草原で羊を飼い、いちじく桑を栽培していた。 栽培には適していない土地だったが、私は工夫して、栽培にこぎつけたのだ。私の自慢だ。 あの日も、駆けずり回って働いて、うっすらと冷える空気の中、あおむけになって空を仰げば、満天の星が瞬いていた。いつもの夜空だった。 あ!!ああああ・・・・ 大きな光の塊が私に向ってきた。その勢いは凄まじく、激しい振動が私の鼓膜を…