去年の暮れ、腕を痛めた。その日、仕事を終えて更衣室で着替えようとすると、左腕に激痛が走った。動かそうにも、腕が全く上がらなくなっていた。一度気づいてしまうと、痛みというのはどんどん増していくものだ。痛い。動かせない。しかしいつどこで痛めたのか心当たりがない。四十肩?こんなに急に?。霊が取り憑いた?左腕だけ?ダッコちゃん霊?さっきまで普通に仕事をしていただけなのに。何とか着替えを終え、マスクの下に引きつった笑顔を隠して同僚に挨拶をし、職場を後にした。痛い。どんどん痛い。年末の街の忙しなさが痛い。客引きをしている居酒屋スタッフの笑顔が痛い。駅に向かいながら、試しに左腕を軽く上げてみる。さっきは全く…