一説に曰く、大津(おおづ)は大水(おおず)であるという。 現今でこそ熊本県菊池郡大津町として人口三万五千人、天高くして地は干され、交通四通八達し、道の駅には特産物たるサツマイモの加工品がずらりと並び、駅前にでんと鎮座するイオンモールが日々の暮らしを支え彩り潤して――まあ要するに、ほどよく田舎でほどよく便利な発達ぶりを呈しているが。 遠い遠い神代のむかし、阿蘇の御山と熊本の市街(まち)の中間(あいだ)に位置するこの土地は、全く以って水天一碧、際涯もない鏡の如き湖面であったそうである。 (Wikipediaより、道の駅大津) むろん、あくまで伝説であり、地質学的・考古学的裏付けは皆無といって構わな…