2 ユングの「自我から自己への中心の移動」― 東洋に学んだユングは自己実現「個性化の過程」を説いた この分離によって起こっている身心の問題を解決するために、ユングは「自我から自己への中心の移動」を提唱するようになりました。 ユングは、意識と身体(無意識)をつなぐもの、また個々の人間と人類という生命全体をつなぐものとして、「自己(Self)」を発見したのです。「自己」とは道教や仏教、またヨーガにおいて、東洋で伝統的に求められてきた「本我・真我」というものです(ユングは『自伝1』(みすず書房)で「自己とは万物への共感性の基盤」であると述べている)。 彼は、ヨーガ・道教・仏教に学び「個人の無意識の奥…