パパの買ってくれたコーヒーは無糖ブラックだった。甘くないコーヒーを飲むのなんて、生まれて初めてだ。それに、たしかコーヒーはミルクを入れないと胃に悪いんだとなにかの本に書いてあった。 でも、まあ、いいか。 一口啜って、舌が苦さを感じないうちに呑み込んだ。 おいしいかどうかは、わからない。でも、まずいってほどじゃない。(重松清『卒業ホームラン 自選短編集・男子編』新潮文庫、2011) こんにちは。上記の文章(「サマーキャンプへようこそ」より)を読んだときに「カレーライス」みたいだなって思った人はおそらく小学校の教員でしょう。あるいは我が子の音読の宿題にしっかりと耳を傾けているパパやママかもしれませ…